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学術活動

透析システム省電力化の研究

  • 日付
    2013/05/18
  • 学会・研究会
    第23回 日本臨床工学会
  • 発表者
    花本昌一
  • 所属
    茂原

目的

透析廃液及び水処理装置排水を回収し、熱交換器を使用した水処理装置原水加温システム(W熱交換)を考案しシミュレーションを行った結果、省電力化に有効であると試算できたため2012年3月に導入をしたので報告する。

方法

Microsoft(R)Excel (R)を用いて、現行の透析システム(現行)とW熱交換での電力使用量について試算し比較を行った。 導入したW熱交換について、熱交換器出入り口の温度から削減できた電力量の算出を行った。期間は2012年4月24日から2012年11月15日(透析回数263回)。

結果

シミュレーションでは、原水温度が年間で最低値と思われる7度の場合、現行57.2kw/h、W熱交換39.1kw/hであった。また、最高値と思われる28度の場合、現行27.0kw/h、W熱交換27.4kw/hであった。 導入結果では、全期間において現行、平均35.7 kw/h、W熱交換、平均26.6 kw/h、原水温度の高い8月では、現行、平均32.1 kw/h、W熱交換、平均25.1 kw/hであった。

考察

シミュレーションでは原水温度7度で、電力使用量がおよそ32%、電気料金に換算すると一ヵ月およそ65000円の削減が期待できる試算であった。原水温度28度(夏場の短期)では、僅か逆転する試算であった。しかし、通年では大きな削減が期待できるものと考え導入を決めた。 
導入結果から全期間において25%、およそ239000円、一ヵ月35000円程度の削減が可能であった。また、夏場では電力使用量が逆転する試算であったが、20%、一ヵ月およそ27000円の削減が可能であった。これは、熱交換器の効率が試算より良かったこと、排液の温度ロスが低値であったことが考えられた。 
今回は春先から秋にかけてのデーターであり、原水温度が年間で最低を示す1月、2月は含まれていない。冬場の寒い時期では大幅な電力使用量の削減が可能であると考えている。今後、冬場のデーターを含め報告する予定である。

結語

熱交換器を用いた原水加温システムを考案しシミュレーションを行い実際に導入した。結果、電力使用量の削減が可能であり有用であった。 
東日本度震災後、日本の電力事情は大きく変化することを余儀なくされた。医療機関であっても湯水のように電力を使用できる世の中ではない。今回の透析システムは医療全体から見るととても小さい節電対策である。個々の医療機器のみならず、システム全体、病院全体を視野に入れた省電力化が望まれる。

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